Column

2021/05/02
はらわたちゅん子
「ゆのまちネオン」レポート

ネオンサインにどんなイメージを思い浮かべますか?
香港の道路に覆いかぶさるネオンサイン、巨大なネオンサインが立ち並ぶラスベガス、どこか懐かしい書体で書かれたネオン看板に、パチンコ屋のパの字だけ消えたネオン看板…

私にとってネオンは、かつての昭和の熱気を感じさせる残り火のようなイメージでした。
それが、数年前にはらわたちゅん子さんのネオンイラストを偶然SNSで目にした時、ネオンが新しくポップでかわいいものに見えたのです。そのイラストは、中国人の女の子が月を掲げていて、背景には香港のネオンサインが並ぶものでした。私はすぐにその画像を保存してスマートフォンの待受画面にしました。それから数年後の今、はらわたちゅん子さんの個展を当店で開催しています。不思議です。今ではネオンサインはすっかりノスタルジックでかわいいものに見えています。

ネオンサインはネオン菅を使用したものですが、ネオン管とはどういうものか簡単に言うと、ガラス管にガスを封入し発光させているものです。最近はネオン菅よりも長寿命なLEDネオンが増えてきていて、ネオン菅を使用した看板は少なくなってきているそう。

展示会場にはネオン菅を使用した、はらわたちゅん子さんのネオンサインが鎮座しています。ちゅん子さんがアオイネオンさんに頼んで作ってもらったもので、思っていたよりも大きくて迫力がありびっくりしました。この距離で見られることはなかなかないのでぜひ裏側まで覗いてみてください。青く見えるところは、ガラス管の中のガスがそのまま見えている部分。赤い部分と違い、ぼわーっと発光しているのが不思議です。ネオン菅ならではです。ケーブルが見えるのがまたかっこいい。

ネオン菅を曲げるのは技術がいるそうで、曲げることのできる職人さんの数も年々減少しているそう。街中のネオン看板も少なくなっていて、このままだとネオンサインは衰退していってしまうのかなと心配になりますが、昔とはかたちを変えて引き継がれていきそうです。というのも、若い人たちの間ではポップで新しいおしゃれなカルチャーとして受け入れられていたり、アートの分野でもネオン菅をつかった作品が作られたりと、新しい広がり方を見せています。
「ネオン」とはギリシャ語で「新しい」を意味するそうで、まったくいい名前をつけたものだねと思います。

本展示では「温泉街」のネオンサインをイメージしたイラストが描かれました。会場ではイラストがプロジェクターで映写され、ネオン看板独特の二コマ漫画のように動いています。私は実際に温泉街でネオンサインを見た記憶はないのですが、はらわたちゅん子さんの描く架空のネオン看板や妖しげな言葉を見ていると、どこかで本物を見たような懐かしさを感じます。言葉選びや書体なども絶妙で、なんでひと昔前の看板デザインってどこかとぼけた感じなんでしょうね。そこがかわいいんですよね。

今回はグッズがたいへん充実しています。ゆのまち土産のてぬぐいに、ゆのまちにあるスナックのライター、瓶ビールをトクトク注ぎたくなるビールグラスなど、どれもかわいくて大好評!故に早々に完売してしまったものも多く、受注販売を承っているものもありますので、ぜひウェブショップをご覧ください。ご予約は店頭でも承っていますので、てぬぐいの実物を見てから決めるのもアリかと。受注販売の締め切りはすべて5月5日19:00までです。

本展示に合わせて新作の『ネオン画集二』も作られました。「ゆのまちネオン」のイラストの他にもたくさんのイラストが掲載されています。店頭、ウェブにて販売中。
また、ハガキサイズのステッカーに新柄が2種類追加されました。こちらは受注販売となっています。

はらわたちゅん子「ゆのまちネオン」はいよいよ5月5日(水)19時まで。いつもは定休日の月曜日と火曜日も祝日営業ですので、最終日までノンストップでオープンしてます。遠くのゆのまちより近くのゆのまちへ、ぜひお越しください。

はらわた ちゅん子「ゆのまちネオン」
2021年4月17日[土]- 5月5日[水]/ 月曜・火曜定休
※5月3日・4日は祝日営業

 

スタッフ:イイヅカ

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