Column

2023/12/31
ご挨拶

museum shop Tの営業が終わりました。正しくは終わっていませんが、ここからは営業形態が大きく変わり、私が関わるのもここまでなので終わったなーという感じです。
 
ここのコラムではあまり個人的な雰囲気にならないように努めて文章を書いていましたが、今回はもう緩めに書きます。今年の春まで行っていたメルマガの雰囲気でいきます。メルマガぬるっと終了しちゃってすみませんでした。たまに店頭でメルマガ楽しんでますと言われるたびに、読んでる人いるんだ…!恥ずかしい!と激しく動揺していましたが嬉しかったです。ちょっと過去のメルマガの文章を読み直してみたりしましたが思っていたより面白かった。忘れてたこともたくさんあるので、というかほぼほぼ忘れているので書いてよかったなと思います。
 
私の関わる最後の企画展「旅のたより」の会期中、たくさんの方がご来店くださり、お久しぶりの方やはじめましての方、よく立ち寄ってくださっていた方、多くの人と言葉を交わすことができました。この場所では6年ちょっと営業してきたわけですが、最後の最後まで、初めて知りましたー、出来たばかりですか?と言われるような店でした。
 
よくお越しいただいていた方々には、もっと来て、本、買えばよかったなあ、と惜しむ声をたくさんいただいて、それだけでこちらも嬉しい気持ちと、続けられず申し訳ない気持ちになったものです。本は安くない買い物ですので、そんな風に思わなくていいのです。最終日まで何度も通ってくださったり、お忙しい暮れの時期になんとかお時間を作ってお越しいただいたり、なんだかいい人だらけで毎日感動していました。最終日まで慣れない来客量で毎日くたくたでしたが、毎日大笑いしていました。
 
私は人見知りで、知らない人に話しかけるなんて動悸がするので普段はできないのですが、この店で本を買ってくれたり展示を見に通ってくださる方たちには急に垣根が下がって仲間意識を抱いていました。入荷したばかりの本を購入してくださった方には、今日入ってきたばっかりなんですよーナイスタイミング!と伝え、私の好きな本をレジに持ってきた方には、これ私はすっごい好きなんですーとお話しし、宇宙に関するエッセイを買ってもらった少年には宇宙が好きなの?え!天文部なの!どんなことするの?と質問攻めにしたり、およそ人見知りとは思えないムーブをかましていました。
本についてもアートについても片足どころか爪先を突っ込んでいるだけのレベルですが、それでも呆れず本や展示についてお話しをしてくださった方々のおかげで、知らなかった本や、作品のいろんな見方を知ることができました。
 
ちょっとここまで湿度高めの文章が続いてしまって疲れちゃったので一旦リセットします。
 
最後の企画展となった「旅のたより」。2021年に開催した企画展「旅のはなし」の内容をまとめた本の発行と合わせた続編的な企画展となりましたが、本当はもっともっともーっと早くに「旅のはなし」の本は発行される予定でした。なんでこんなに遅れたのかという明確な理由はなくて、気付いたらこんなに時間が経ってました…というやつです。ほんとすみません。こんなに時間が空いて発行してもなんか意味わからんことになるのではー?とも思っていましたが、結果的にこの時間差が結構面白い効果になったなと思っています。2021年はまだまだコロナ禍で旅行なんてもう一生できないのか…?とみんな思っていた頃です。とはいえ私は記憶力が本当にないので当時の気持ちなどあまり思い出せません。特にコロナ禍中はもっとインパクトのあるニュースや出来事が毎日毎日飛び込んできていたので、「旅行したい」なんてささやかすぎる気持ちは忘れ去っていました。そんな、もう思い出せないような気持ちがこの『旅のはなし』には込められていました。旅に行けない気持ちが直接的に書かれているわけではありません。旅に行けない状況の中で、過去の旅を懐かしむような気持ちが込められています。きっと企画展から時間が経たず発行されていたら、ただただ共感するのみだったはずです。時間が経ってしまったことにより、ささやかな想いのタイムカプセルとなったと感じます。まあ結果的にこうなっただけでこれがベストだったとは思いませんが、結果よければなんとやらです。
 
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企画展「旅のたより」にはこれまで個展を開催してもらったり何かとご縁のある方だったり移転前の時代からお世話になっていた方だったりにお声がけさせていただきました。本当はもっとたくさんそのような方がいますが、ギャラリースペースのキャパが小さいのとお声がけから開催までの時間が短かったのでバババっと勢いで決めさせていただきました。
 
最後の企画展として、ジャンルも雰囲気もごちゃ混ぜのお祭り騒ぎな感じで楽しかったです。設営でひとりで作品の配置を考えているときは悩みすぎて吐きそうでしたが。設営当日まで誰がどんな作品を持ってくるかわからなかったんですよー無茶ですよね。
 
いつも展示はだいたい3週間開催でしたが今回は2週間だったので本当にあっという間に終わってしまいました。展示の開催中、私は毎日同じ空間で同じ作品を見ることができます。うちのスペースは自然光が入ってこないので時間帯で見え方が変化することはありません。変化するのはこちら側の体調や感情。じわじわと見え方が変わったり気付いたりする経験は特別で贅沢なものでした。
 
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あまりにも思いつくままにダラダラと書いてしまっているのでそろそろ終えます。テレビやインターネットやSNSで見る世界は、なかなかどうしてクソみたいな事や人が目立ちますが、実際はいい人が本当にたくさんいて優しい気持ちや言葉を渡してくれて、そのような人たちにずっと支えてもらっていたなと身に沁みる数週間でした。最後、店頭では本のセールも行っていて、目を輝かせてたくさんの本をレジに持ってきてテンションの上がっている方をたくさん見られて楽しかったです。本をたくさん買うの、最高にアドレナリンが出ますよね。
 
それでは皆さま、この場所で6年間とちょっと大変お世話になりました。本当にありがとうございました。またどこかで。
 
 
 

 

 

スタッフ:イイヅカ

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