Column

2019/10/10
出版記念 写真展
「私の秘密の花 ―西沢立衛のガーデン&ハウス 」写真:鈴木理策 レポート

「私の秘密の花 ―西沢立衛のガーデン&ハウス」は建築家西沢立衛が手がけた個人住宅にて行われた、非公開・1日限定で行われた展覧会です。住宅というプライベートな空間にて、非公開で4名の作家が展示し、写真家 鈴木理策が展覧会風景を撮影しました。

西沢さんはSANAAという妹島和世さんとの建築家ユニットでの活躍や、青森の十和田市現代美術館、香川県の豊島美術館などを作られている印象が強く、個人住宅を手がけるというと、どういうものなのか聞いただけでわくわくさせられます。

「ガーデン&ハウス」の設計は、施工主のお二人のエネルギッシュな生き方、思想に影響されたと言います。この住宅の住人であるお二人は、もともと都心から少し離れた昔ながらの木造一軒家を拠点に活動されていたそう。

西沢さんがそこを訪れた時、階段や欄干、書斎に所狭しと置いてある小物や雑誌、本を見て、溢れ出る二人のエネルギーを感じたといいます。その二人が活動する空間として、庭と部屋が積層していく住まいを設計されました。


都心のビルとビルの間に挟まれた空間にひっそりと作られた家。
設計を見て二人は、バージニア・リー・バートンの「ちいさいおうち」を連想したそうです。

「私の秘密の花」という展覧会は、施工主の方が設計途中で作られた住宅の模型を見て、「この空間で展覧会をしてみたい」というアイデアが形になったものです。

展示するのは設計した西沢さんとできるだけ近い世代の作家さんをということで、陶芸家 内田鋼一・写真家 鈴木理策・美術家 金氏撤平・現代武術家 廣瀬智央の4名にお願いしたそう。

そしてその展覧会風景の記録をしたのが、写真家の鈴木理策さんでした。


鈴木理策さんは光の捉え方と、独特な焦点の合い方が特徴的な写真家。以前インタビューで『自分が「こう見た」というよりも、世界が「こうあった」というのを撮りたい』とおしゃっていた鈴木さん。

西沢さん建築の空間では、一面窓にすることにより、隣の建物の壁を住宅の壁として見せていたり、全ての階に「庭」という私的でありながら公的な空間をおいていて、自分の主張を押し通すために空間を捻じ曲げるのではなく、取り入れて反応している点で、鈴木さんとの共鳴を感じられます。

私・家・秘密・非公開・花・庭…これらのキーワードたちが幾重にもかさなり複雑さを増すことで、どこか神秘的ですらある展覧会「私の秘密の花」。それが鈴木理策という写真家によって記録されたことにより、家と庭と人と作品が不思議なバランスで呼応しあう、まるで現実と幻が共存した一冊になっています。

当店では、書籍の販売と共に鈴木理策さんのオリジナルプリント、西沢立衛さんの建築模型が展示されています。

書籍は通常盤と鈴木理策さんのプリントがついた特装限定版を販売しております。


会期は10/14までと短くなっております。台風が心配ですが、この機会にぜひご来店下さい。


出版記念 写真展「私の秘密の花 ―西沢立衛のガーデン&ハウス 」写真:鈴木理策


2019年10月5日[土] – 10月14日[祝・月]

◎14日は祝日営業いたします。



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