Column

2020/07/10
近藤南
『dromen』レポート

近藤南さんは、陶を主としながら様々な素材を用い、夢と現実の狭間の出来事を彫刻作品に変換しています。また、彫刻制作を行う傍ら、2017年より自身のアクセサリー・プロダクトブランド「DROOM」を立ち上げ、今回メインで展示販売している一輪挿しは、「DROOM」のプロダクトラインとなっています。

陶のみでつくられているものと、木と組み合わせられているものがあります。木の部分は近藤さんが木工作家の方へお願いして特注でつくられたもの。中には小さなガラス菅が入っているので、水を入れて生花を生けることもできます。

木の上にのっている近藤さんの陶はちょこんとのっているだけなので、例えば別のガラス瓶や、家にあるコップなどにのせて使うこともできます。穴のサイズが小さいので、広口のグラスでもこれをのせれば、花を一輪飾るのにちょうどいい一輪挿しになるのです。

なんでもないグラスが、陶をのせたら近藤さんの作品の空気を纏うというのも素敵です。

陶のみの一輪挿しは、陶器のスベッとした質感と、やわらかなかたちが優しい表情で、置いてあるだけでその場の雰囲気をふんわりとさせてくれます。

彫刻作品をつくられている近藤さんの一輪挿しは、やはり彫刻作品のようでもあり、花を挿さずに置いておくだけでも十分な存在感を湛えています。

彫刻作品は実際に近藤さんが見た悪夢や不可思議な体験を具現化させていることが多いそうです。悪夢を見てしまった時の不安や恐れを作品に落とし込むことで、客観視する視点が生まれ、悪夢に立ち向かうことができる。今現在も続いている、穏やかさと不安がないまぜになったような夢のような状況からインスピレーションを受け、プロダクトやアクセサリーとして可視化させたのが今回の展示作品達です。どの作品も一見すると美しい白昼夢のような感覚を覚えますが、近藤さんに作品についてお話を聞いてみると思いがけない悪夢だったりするので、そのギャップがとてもおもしろいです。

たとえば、この近藤さんのツイッターアイコンにもなっている作品。

タイトルは『きなこ棒地獄』。幼い頃、行きつけの駄菓子屋で売っている当たり付きのきなこ棒が大好きで、その日も一人できなこ棒を買いにでかけた近藤さん。一本買ってその場で食べてみると、棒の先に赤い当たりの印が!喜び勇んで店主のおじいさんにもう一本のきなこ棒と引き換えてもらい、これもその場で食べたら、また赤い印!喜んでおじいさんにもう一本きなこ棒をもらい、食べてみるとまた赤い印。不思議だと思いながらもう一本。また赤い印。そろそろ不安な気持ちに覆われながらもう一本。棒の先には赤い印。当たりの喜びは消え去り、無限ループの恐怖に怯えた少女は、赤い印のついた棒を握りしめたまま一目散に家に逃げ帰ったのでした。

このような不可思議な体験や、おそろしい悪夢が内包されているとはとても思えない、美しく不思議な彫刻作品も今回展示されています。ぜひ近藤さんの在廊日にご来場いただき、お話を聞いてみてほしいです。

また、“夢と現実を繋ぐ”をテーマに活動されているアクセサリーブランド「DROOM」のリングやヘアゴム、耳飾りにブローチも販売しています。特にすべてが陶でできたリングは金属とまた違った、ざらスベっとした感触が気持ちよく、夢の手触りってこんな感じなのかなぁと触りながら思いました。

近藤南『dromen』は7月19日[日]まで。在廊予定日ははじめのお知らせより増えました。ぜひ近藤さんの在廊されている日に合わせてご来場いただけたらと思います。

 

近藤南
dromen

2020年7月4日[土]- 7月19日[日]/ 月曜・火曜定休
◎作家在廊日:4日・5日・12日・18日・19日

 

スタッフ:イイヅカ

 

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