Column

2022/11/13
落合晴香
「ある花壇」レポート

落合さんの作品は、紙に描いた筆跡を切り取り、コラージュによって様々な植物を再構成し、出来上がったドローイングをさらに写真に収め、編集を加え、イラストレーションと写真の中間表現を試みています。
昨年の春に開催した個展「浮いた春」では写真に収める前の過程の「原画」を展示していましたが、本展では原画とも異なる表現の作品が展示されています。

コラージュによって構成した植物を下地の布に虫ピンで固定し、標本箱のようなボックス型の額に納め、まるで昆虫標本のようなデザインとなっています。昆虫標本を思い浮かべてもらえるとわかるかと思いますが、下地にペタッと貼り付いておらず浮いているので影が落ちるようになっています。飾る場所の照明の位置や光の強さによって落ちる影の形や濃淡が変化し、作品の表情も変化する面白い仕掛けです。

本展のために描かれた植物は落合さんが散歩をしていて見かける花壇の中に実際にあった植物です。植物の造形が好きで、植物をモチーフに作品を制作している落合さんですが、植物そのものというか、生態などの詳細にはあまり興味がないようです。だからこそなのか、落合さんの目を通して再構成された植物は簡略化されていてシンプルに明るくかわいい。標本箱のような形になっているのも、植物の一番鮮やかで生き生きとした瞬間を閉じ込めたかのようでピッタリだと思います。

今回、本展に合わせて落合晴香はじめての作品集『Botanical Garden』を制作しました。2019年から2022年現在まで制作してきた作品を収録したボリュームのある作品集です。本文に一枚一枚作品のプリントを貼り込み、植物採集帳のような手の込んだ手製本で仕上げています。

通常価格3,520円のところ、会期中限定価格として11月20日まで3,300円となっています。ウェブショップにて受注を承っていますのでぜひご覧ください。

落合晴香「ある花壇」は11月20日(日)まで。落合さんは水金日に在廊を予定しています。会場ではウェブショップで完売しているオリジナルアクリルキーホルダーも販売しています。

落合晴香
「ある花壇」

2022年11月3日[木]- 11月20日[日]/ 月曜・火曜定休

 

 

スタッフ:イイヅカ

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