Column

2021/09/10
haco
「Eatable Tokyo」レポート

hacoさんは、駅の矢印やレトロなビル、ヴィンテージマンションが好きで、写真を撮りzineを制作したり、ウェブサイトEccoDecoにて秀和レジデンスのコラムを連載していたり、『いいビルの世界 東京ハンサムイースト』(大福書林)を共同執筆していたりする傍らで、サイケデリックでキュートなスイーツを製作するpsychedelic sweets spicaとしても活動中という、好きなものに向き合って全力で取り組んでいる方です。

今展示では東京の街にある見慣れた風景の中から、hacoさんがかわいいと感じるものを切り取って、アイシングで表現した作品の展示販売となっています。アイシングとは、砂糖や卵白などを混ぜた、お菓子の表面に施すデコレーションのこと。今回の作品は土台にシュガーペースト(砂糖でできた粘土のようなもの)を使用しており、食べようと思えばすべて食べられる素材でできています。

hacoさんの感じる「かわいい」は、昔からあるモニュメント、駅の床、レトロなビル、古いタイルの壁、ネオンサインなど、当たり前の街中の風景になっていて気にも留めないようなものが多く、hacoさんによって抽出されたそれらは、よく見ると確かにかわいい。

hacoさんの「かわいい」には身近な懐かしさも混ざっていて、かわいさを意図しているワケではないもの、昔からあって不変であるものという点も惹かれるポイントなのかなと思います。

「かわいい」はとても定義が曖昧で、懐の深い言葉です。少し前までは「かわいい」は女の子のもののように使われていたけれど、今ではすっかりジェンダーレスになり、懐をさらに深くしていっています。そういえば「カッコかわいい」とか「キモかわいい」とかいう言葉も最近はただシンプルに「かわいい」に統合されたような気がします。キラキラしたものはもちろんかわいいけど、シンプルだったり目立たなかったり、年季が入っていたり古かったり、そういうもの全部、かわいいという言葉で包んでしまえる、「かわいい」の万能感はとどまることを知りません。

駅の床に描かれた、乗り場の場所や進行方向を示すだけの矢印が、hacoさんの目を通すとこんなにかわいく見えるなんて不思議です。渋谷駅のタイルなんかも、見覚えがある程度でしたが言われてみればこんなにかわいい配色。視点が違うと見えている世界が異なって、かわいいがそこら中から溢れてくるのだと思うととても面白い。

今回、この展示に合わせてhacoさんと一緒にオリジナルグッズも作りました。
「Arrow/Station Pushpin」とマスキングテープです!…が!マスキングテープはもう少しで届くところです。来週末にはご用意ができる予定ですのでしばしお待ちください!

「Arrow/Station Pushpin」はhacoさんのzine『Arrow/Station』と『Arrow/Station 2』に掲載されている、かわいい駅の矢印を画鋲にしました。このまま飾っても、画鋲として使用してもかわいいです!台紙の駅の床は、どう見ても写真に見えますがなんとイラストレーターで描いています。点字ブロックの溝の汚れなどやたらリアルで謎のこだわりがあるのでこちらもじっくりご覧ください。

このコラムの中で一体何回「かわいい」を打ったことでしょう。「かわいい」がゲシュタルト崩壊を起こしそうです。

haco「Eatable Tokyo」は9月20日(月・祝)まで。来週末からは作品とグッズのオンライン販売もスタートします!本当は実物の立体感をその目で楽しんで欲しいですが、なかなかそうもいかない昨今ですので、ウェブショップの画像でもお楽しみいただければと思います。

haco
「Eatable Tokyo」

期間
2021年9月4日[土]- 20日[月]/ 月曜・火曜定休
※作家在廊日:4・5・18・20日
※20日は祝日営業いたします。
※新型コロナウイルスによる影響で、営業については変更となる場合もございます。
 最新の情報は随時ホームページとSNSにてアップします。

 

 

スタッフ:イイヅカ

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