Column

2019/07/14
Awabi ware
「あわびウェアと珉平焼」レポート

あわびウェアの「あわび」は、淡路島の美しさ、「ウェア」には製品という意味があります。江戸後期から明治期に栄えた珉平焼(淡路焼)の制作スタイルに学びながら、受け継ぐ器をコンセプトに、日常使いの生活道具としての器をつくっています。

珉平焼は、江戸時代後期に賀集珉平という陶工が京焼を学んだ後、淡路島に開いた窯元です。中国や東南アジア、京焼の影響を受けながら独自の世界観で作られた作品は、今でも評価が高く人気です。

珉平焼を見てまず驚くのが、この鮮やかな色。日本の昔ながらの食器というと落ち着いた色味のものが多いイメージなのですが、珉平焼はカラフルでとてもポップな印象です。釉薬には鉛を原料とするものが使われていて、ハッとするような明るい黄色などは鉛特有の発色となっているそう。実は、現在の法律では食品用陶器に鉛含有の釉薬の使用は禁じられています。ですので、この目を惹く発色の器は、今ではもう出せない貴重な色となっています。

今展示では、Awabi wareの器だけでなく、その重要なルーツの一つでもある、珉平焼の古物も合わせて展示・販売しています。古物ですからキズや欠けもありますが、そこには、真新しい器にはない時間の重なりがあり、そこもまた味わい深い表情となっています。すでに長い時を経たクラフトと、これから私たちと共に時を重ねていく、現在進行形のクラフト。ゆくゆくはこれら珉平焼のように、味わい深く育っていき、受け継がれていくのだと思うととても楽しみ。

今回、陶器ではない、木でできたお皿もあります。Awabi wareの、パンをのせるのにちょうどいい木のお皿をつくりたいという希望に、香川県高松市の木地師と、石川県輪島の塗師が応えてできた、毎日使える木と漆のパン皿です。

仕上げは、木地に漆を塗っては布で拭き取り乾かす、を何度か繰り返す「拭き漆」で、漆製品特有の重厚感がなく軽やかで、陶器のお皿と一緒に並べても違和感のないマットな質感となっています。

漆は水や油、酸や塩にも強いので、パンだけでなく、サラダやおかず、取り皿など、陶器と同じように使うことができます。洗うのもいつも通り、硬くないスポンジと洗剤で、洗った後に柔らかい布で水気を拭き取れば大丈夫。極度の乾燥は苦手なので、仕舞い込まず日々使って洗い、陶器と同じように活躍させてあげるのがおすすめです。

Awabi wareの器は都内でも何店舗か取り扱っているお店がありますが、上の写真の瑠璃色と黄色透明の器はあまり卸されていないそうで、展示やイベントの際に見ることのできる色となっています。今回この2色は大小さまざまな形の器を持って来ていただきました!瑠璃色の器は、深い青がとても美しく、うっとりと見とれてしまいます。黄色透明のお皿は、どんな料理も合いそうですが、特に和食を目に美味しく引き立ててくれそうです。

こちらのお皿は、オレンジページ企画でつくられた、あわびウェアと、料理家の堤人美さんのコラボレーションです。あわびウェアのお皿は少し深さのあるものが多いですが、このお皿は堤さんの「平たいものもあったらいいな」という希望から生まれた平皿です。朝食のワンプレートや焼き魚、餃子や炒めものなど、料理が映えて毎日使えるお皿となっています。手持ちのお皿と重ねてしまいやすいというのもポイント!

Awabi wareの岡本純一さんが、いま一番自分の理想と近いとおっしゃっていた器は、このスープ皿です。窯から出したとき、作り手ではなく、使い手の目線で「使いたい」と思えたと言います。シンプルだけれど、とろりとした艶と曲線が美しく、両手のひらで大切に抱えたくなる器です。実際に見て、持ってみて、このお皿の魅力を感じでいただきたいです。 スープだけでなく、煮物などでも汁を受け止めてくれて、こんもりと盛ることができそう。

会期も残りわずかとなってきましたが、まだまだたくさんの種類の器がありますので、じっくりとお選びいただけます。豆皿だけでもいろいろな形と色のものがありますよ!これだけ多くのあわびウェアを一度にご覧いただける機会もなかなかありませんので、ぜひぜひ足をお運び下さい!

 

Awabi ware 「あわびウェアと珉平焼 」

2019年 7月6日  [土]  –  7月21日 [日] / 月曜・火曜定休

※7月15日(月・祝)は営業いたします

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