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「不明なオブジェクト」という名前のついたファイルが添付されたメールは、開きたくはないですが何が入っているのか気になる存在です。今回のunpisさんの展示タイトルは「不明なオブジェクト」。本展の為に描かれた作品にはストーリーやメッセージなどが込められていません。「不明なオブジェクト」というちょっと不安になるような言葉から生まれた作品たちです。
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unpisさんにお話を伺うと、今回は展示タイトルを先に決めてから作品を描いたとのことです。絵を描く時にストーリーや意味を込めないというのが思いの外難しかったそうで、確かに意味を込めない絵を描きなさいと言われたら、なんでも描いていいようでいて、何を描いてもストーリーが生まれてしまいそうで何を描いていいかわからなくなってしまうなと思います。
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鑑賞する側としても、この絵には何かしらストーリーや背景があるのだろうという先入観が生まれてしまっているのでその何かを探したり想像してしまいます。でも「不明」という言葉は「意味がない」ということではなく、「明らかではないこと。はっきりと分からないこと。」という意味なので、どの作品にも、作者のunpisさんにでさえもはっきりとは分からない何かが生まれているのかもしれません。
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「はっきりと分からないこと」というのは現代だと嫌悪されがちですが、昔は自然現象などは分からないことだらけで、それでもその分からないことに人々は物語や意味を当てはめて、それらを大切にしたり信仰したりしてきました。
他人から見たら無駄だったり意味がないことでも、自分にとっては大切で大事ということもたくさんあります。「不明」という言葉は不安になるような言葉かもしれませんが、はっきりとは分からないけれど大事な何かを内包しているのかもしれない。「分からない」を拒絶せず受け入れていくというのも大切だなと思います。
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unpisさんの作品を画面越しだけで見てきた方にはデジタルで描いていると思われがちなのですが、原画はすべて手で描かれています。近くに寄って初めて見える筆の跡や、重ねた絵の具の盛り上がり。ぜひぜひ原画を直接ご覧いただきたいです。今回は原画の他にシルクスクリーン作品も展示販売しています。一枚一枚手で刷られた美しい仕上がりです。
unpisさんの作品に囲まれる空間へぜひお越しください。
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unpis
「不明なオブジェクト」
2022年9月3日[土]- 9月19日[月・祝]/ 月曜・火曜定休
スタッフ:イイヅカ