Column

2019/12/18
佐藤 尚理 SATO Naomichi
「Serendipity」レポート

佐藤さんは彫刻家としての活動ののち、陶芸という素材に惹かれて、現在は沖縄本島の南東に位置する南城市にて、bonohoというお店とアトリエが一体となったスペースをつくり、陶芸作家として活動をされています。

沖縄の陶芸というと、やちむんのようにぽってりと厚い形状に力強い絵付けがされた器などを思い浮かべますが、佐藤さんの作品にはそのような印象はなく、明るく可愛らしい色使いと絵柄が特徴的です。一方で、沖縄のあたたかくのびやかな空気も感じ取ることができます。

彫刻を学んでいたからこそ、オーソドックスな技法や実用的なだけではない、実験的なものづくりから、ゆるやかで豊かな色彩の作品が生まれているのかもしれません。

沖縄という場所ならではの大らかな空気と人柄が、佐藤さんの作品に、絶妙なゆるさと柔らかな雰囲気を育みます。使うたび、見るたびににあたたかな気持ちになる作品です。

今回の展示で佐藤さんがはじめてお披露目したシリーズの作品があります。

「スクラッチシリーズ」と名付けられた、シンプルで力強い、佐藤さんのこれまでの作品とはまた違った魅力の器です。

釉薬のたまり具合や、削られた筆跡で佐藤さんの描く線の魅力を残しつつ、新鮮な美しさを感じます。絵皿はそれ自体が主役となりますが、スクラッチシリーズはお料理を美しく、目にも美味しく引き立ててくれるはず。

一見すると金属のように見えたり、はたまた柔らかそうに見えたり、なんとも不思議な質感が魅力です。

会期はいよいよあとわずか。12月22日(日)19時までとなります。新年をぜひ佐藤さんの器と共にお迎えください!

 

佐藤 尚理 SATO Naomichi「Serendipity」

2019年12月7日[土]- 22[日] / 月曜・火曜定休

 

※こちらの記事に掲載されている画像は数日前に撮影したものです。画像に写っていてもすでに完売となっているものもありますのでご了承ください。

 

 

スタッフ:イイヅカ

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