Column

2021/01/27
常田 泰由
REFIND / CUT / PASTE レポート

常田さんはドローイングをベースにした木版画や、彩色した紙を切り抜き並べたコラージュの作品を主として制作されています。今回展示されている木版画とコラージュの作品は、淡いグレーの木版画に大小のカラフルな丸のコラージュが散りばめられ、とても可愛らしい。子どもの頃の、雪が降った日の朝のワクワクを、私は思い出しました。

会場のメインテーブルに並ぶミニブックシリーズは、それら木版画やコラージュ作品を制作する際に出る作品のカケラから、新たに生み出された作品です。
本来ならば捨てられる部分であるコラージュの切れ端や、刷られた後の版木から、常田さんに再発見された小さな本たち。

様々な質感、厚み、あるいは薄さの紙片は、常田さんの手によって製本されています。無線綴じ、コプト綴じ、和綴じ。それぞれに合う綴じ方で、どんなに小さくても繊細に丁寧に作り込まれ、新たな輝きを放っています。

「本」とはいうものの、中に文字や絵が印刷されているわけではありません。それでも本の形をしているものはページをパラパラとめくりたくなる。似たようなページに見えても、刷られた色の濃淡やかすれ具合、模様など、ひとつとしてまったく同じページはありません。
「本」という形を成すことで、手にとってめくったり、綴じた状態や開いた状態、寝かせたり立たせたりして置いたりと、様々な動作が加わり、見え方が変化していきます。

目で見るだけでなく、手で触れらるというのはたくさんの情報を与えてくれます。刷られた部分がざらざらだったり、木のケースがすべすべしていたりと、新たな発見をもたらしてくれます。
会場ではミニブックシリーズを実際に手にとってご覧いただけますので、ぜひたくさんめくってみてください。

ミニブックシリーズの他にも、刷られた後の版木を厚手の板にコラージュした、これまでに取り組まれたことのない作品も並んでいます。カラフルな色で刷られた図形や模様のコラージュはポップでかわいらしく、部屋に飾ればパッと目を引いて、雰囲気を明るくしてくれるはずです。
色を刷るために使われた版木は、筆などで塗ったものと違ってムラなく均一に色を吸っていて、木目や表面のザラつきがよく見えます。

版木を使用したコラージュのシリーズの中でもひときわ目を引くのがこの作品です。
透明のアクリル板で覆われた箱状の額になっていて、中に入っている版木や無色のアクリル版は固定されておらず、回転させたり傾けたりすることでカタカタと動いて変化していきます。1日1回、週に1回、月に1回、お客さんが来る時、もしくは気が向いたら。好きな時に回転させて、部屋の景色を変えることができる。鑑賞するだけではなく、自分の手で変化させることのできる作品です。

今回、展示作品の一部をウェブショップでも同時に販売しています。本当なら、特にミニブックシリーズはお手にとってご覧いただきたいものですが、様々な理由でご来場いただけない方も多いと思いますので、ぜひウェブショップでも作品をご覧いただければと思います。

展示はいよいよ1月31日[日]19時までです。常田さんは最後の週末の1月30(土)、31(日)の夕方頃まで在廊を予定しています。会場は混み合わずゆったりと見ていただけています。ページ下部にご来店時のお願いを記載しておりますので、ご来店前にご一読いただくようお願い致します。

常田 泰由
REFIND / CUT / PASTE

2021年1月16日[土]- 1月31日[日]/ 月曜・火曜定休

ウェブショップ販売ページ

 

【ご来店時のお願い】
お客様および従業員の安全と健康を最優先に取り組んでまいります。
また、今後安心してお店でのお買い物や展示を楽しんでいただくために以下の感染拡大予防対策に取り組みます。
(1)スタッフはマスク着用、エントランスの開放、天気が良い日は窓も開けて営業いたします。
(2)ご来店時にはお客様におかれましてもマスクの着用をお願いいたします。
(3)入り口にてアルコール消毒液を設置致しますのでご利用ください。また少人数でのご来店をお願いいたします。
(4)店内の人数によっては、店外にてお待ちいただくこともございます。
(5)スタッフがお客様と対面で会話する場合は、間隔をあけて対応させていただきます。

お客様にもご不便をおかけしますがご協力、ご理解をお願いいたします。

 

 

スタッフ:飯塚

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