Column

2022/03/18
Gleichenia
「Trigraph」レポート

Gleichenia(グレイキニア)はシダ植物のウラジロを意味する言葉です。世界に1万種を数える最古の常緑植物のひとつ。葉からはじけた胞子が舞い降りた土地に応じて新たな生命を育むように、出自や年齢・性別・既存の価値観にとらわれない生き方に寄り添う表現を探究しています。
ご夫婦で活動されておりそれぞれで役割を担う様子も、表と裏で色の異なるウラジロを表しているようですね。

古典技法からデジタル工作まで多様な手法によってガラス、真鍮、ゴールド、シルバーなど様々な素材の持つ性質に向き合い、コンセプトと実験的アプローチとの間を柔軟に行き来することで、暮らしに色さすかたちを生みだしています。
本展ではガラスと七宝の作品を中心としたラインナップになっていますが、Gleicheniaのサイトを見るとモダンなデザインのリングやタイポグラフィをモチーフにしたブローチなど、バラエティに富んだ作品づくりをされていることが伺えます。

壁にかけて鑑賞するペインティング作品「Untitled」シリーズを、より身体的に感じられるようにとの思いから作られた七宝を用いたブローチ「ECHO」シリーズ。異なる色や技法が用いられた3つのピースが寄り添い、多層な響きを奏でるようにと「ECHO」と名付けられました。
直線と曲線からなる輪郭を発展させた、柔らかな色のグラデーションを内包するガラスのオブジェ『CONTOUR』シリーズ。石膏で型を作り、細かい粉状のガラスを敷き詰めて長い時間をかけて焼くと、ガラスの色が混ざり合い美しいグラデーションになります。

本展のタイトル「Trigraph」とは、アルファベットの組み合わせによって、本来の音とは違った新しい音が生まれるという意味です。「Untitled」「ECHO」「CONTOUR」の3つ要素が重なることで、異なる素材、異なるアイテムが調和し、空間全体の印象が柔らかなものとなっています。

本当ならこの空間ごと体感していただきたいですが、例によってウェブショップに一部の作品をアップしていますので、ご来場の難しい方にご利用いただければと思います。

「CONTOUR」オブジェ シリーズ
パート・ド・ヴェールという技法を用いて作られています。前述した通り、型の中にガラスの粒を入れて型ごと焼成し、型を壊してガラスを取り出す手間のかかる技法です。細かなガラスの粒を使用するため焼き上がったガラスには細かな気泡が生まれ、色は混ざり、柔らかで美しいグラデーションとなります。壁に掛けても棚に置いても存在感のあるオブジェです。

 

「ECHO」ブローチ シリーズ
ペインティング作品「Untitled」からイメージを膨らませて作られる「ECHO」シリーズ。異なる七宝技法と色の3つのピースが組み合わせられています。七宝を留める金属部分が最小限の細さで作られている為、見た目のボリュームから受ける印象よりも軽く、着けやすいブローチとなっています。シルバー製の留め具を自立させ飾ることもできるという、アートとして楽しむこともできるブローチです。2本の針で支える為ボリュームがあっても安定しやすいのも特徴。

 

「ACCENT」ブローチ シリーズ
「ECHO」シリーズで異なる色や技法が用いられた3つのピースを、それぞれ単体のブローチにしたようなシリーズ。小ぶりで合わせやすいサイズ感、且つアクセントになるブローチです。こちらも七宝を留める金属部分が最小限の細さで作られている為、とても軽くて着けやすくなっています。

Gleichenia「Trigraph」は3月21日[月・祝]までの開催です。最後の4日間は作家の在廊も予定しています。すっかり春めいて暖かくなってきましたので、春の服に合わせるブローチを探してみてはいかがでしょう。

 

ウェブショップはこちら▶︎https://museumshopt.base.ec/categories/4232996/2

 

Gleichenia「Trigraph」
2022年3月5日[土]- 3月21日[月・祝]/ 月曜・火曜定休
※作家在廊日:金・土・日・祝

スタッフ:イイヅカ

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