ananas pressは製本作家・都筑晶絵とブックデザイナー・山元伸子によるリトルプレスのユニットです。紙、印刷、製本の魅力とあたらしい本のかたちを探りながら、読むだけでなく見てさわっていつまでも愉しめる本を作りたいと、2008年より活動されています。
今年で10年。10年目のananas pressののテーマは「つくること」。
あたまをひねり手をうごかして、あたらしい本『making』がつくられました。
『making』には、ananas pressがこれまでつくった本のこと、つくるための道具のこと、「つくる」にまつわる言葉とスケッチと写真が収録されています。
グレーの厚紙でできたケースを開くと、同名の本が一冊と、『tools』と記され折りたたまれた紙が二枚入っています。この二枚は、製本が完成していない本です。半分に折って、背を糸で縫い、小口とあたまをカットすると本のかたちになります。最後に自ら手を加えることで『making』は完成します。
『tools』の一方が製本にまつわる道具について綴られた本。もう一方が印刷にまつわる道具について綴られた本。
製本にまつわる道具については製本作家の都筑さんが、印刷にまつわる道具についてはブックデザイナーの山元さんがそれぞれ文章を綴っています。道具について説明するだけでなく、その道具への想いや記憶が一緒に記されていて、読んでいて楽しいものとなっています。
『making』にはananas pressがこの10年間のあいだにつくってきたものについて、想いや記憶、ラフスケッチやメモなどが収録されています。それぞれの本に都筑さんと山元さんお二方の文章が添えられていて、その違いもおもしろいです。
展示会場では『making』に掲載されている本を実際に手にとって見ることができます。すでに在庫のないものが多いので、とても貴重な機会です。『making』を読んではじめて知ること、実物を見てはじめて発見できることがあります。
10年目の節目の展示、というとなんだかおおげさで、ananas pressのお二人にうふふと笑われてしまいそうですが、やっぱり10年の積み重ねはすごいことだと思います。それでも、今回の展示で感じるのは軽やかさなのです。ananas pressのどの本も軽やかな佇まいで、とても清々しい。
それは、都筑さんと山元さん、お二方の佇まいでもあります。
ananas pressのものづくりに対する真摯な姿勢や細やかさ、ユーモアやチャーミングな一面など、いろんな表情を知ることのできる展示です。
会期も残り少なくなってきました。年の終わりにぜひぜひこの清々しい場所へお越しください。
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2018年12月8日[土] – 12月24 日[月]
作家在廊日|都筑:12月8日[土]・9日[日]/山元:会期中の土日(14時以降)
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スタッフ:飯塚