国分寺switch pointにて開催中の、藤田道子個展「氷がとけるまで」に合わせて製作された、藤田道子初の作品集をご紹介します。
「2018年5月29日、撮影場所の東京都品川区、外の気温は27度。
10時から15時までの撮影で、室内は適度に涼しく、氷は約4時間かけてとけていった。」
真空色と、珊瑚珠色に染められた氷が、コップの中でとけて混ざり、竜胆色へと変わるまで、藤田さんは、窓から白い光の差し込む広々とした部屋でインスタレーションを行いました。
淡い色に染められた軽やかな布、糸で吊り下げられ揺れる鏡、さまざまな幾何学な形の木のオブジェ、繊細に引かれた艶やかな絹糸。
それらは、窓からの白い光を反射し、あるいは包まれ、柔らかな空間を作り出します。
「空気の動き、光の調子、湿度。
微細に変化し続けているそれらを、絹糸は可視化してくれた。
そしてその淡々とした反応の連続は、私に安心感のようなものを与えてくれた。」
彼女の作品は、光や重力、空気や温度を、私たちに感じさせてくれる装置のよう。
いつも身の回りにあるそれらを、密やかに抽出し、そっと広げて見せてくれる。
それはファンタジーかもしれないけれど、とても大切なこと。
巻末には、茅ヶ崎市美術館学芸員の藤川悠さんによる寄稿『朝の星空』を掲載。
滑らかな紙の平綴じミシン製本で、藤田さんの雰囲気にぴったりの作品集となっています。
お求めはmuseum shop Tウェブショップ、またはswitch pointで開催中の個展「氷がとけるまで」にて。